買った

『Role&Roll Vol.11』とガンドッグ・サプリ『ワイルドライフ』。いつの間にか出てたのね。
ただ私がローテンションな為か、あまり読む所が無いなような。


『Role〜』の方は第1特集が『ゲヘナ』。このゲーム、まだ展開するんだ。リプレイだけでルールは持って無いんだよな。サイコロの振り方は好きだけど。
他記事では『クトゥルフ・ダークエイジ』のリプレイ。キャラ作成では能力値が割り振り制、一部職種は最初から呪文を持てるなど、変更点がチラホラと。内容自体には変に違和感が無く、言うなればファンタジーの邪神ってだけかも。
今後の発売予定では、5月に「アリアンロッド・リプレイEX*1」、「ガンドッグ・サプリ02」と「ガープス第4版」は共に夏予定、「皇国の守護者(ボードゲーム)」*2は未定。あと、何故か「ウィザードリィRPG」が復刻されるそうな(6月予定)。それと気になるのが「恋するメイドRPG」とやら。サプリだそうなので、既に基本ルールは出てるのね。……何と言うか、既視感? 90年代にも似たような流れが無かったかな。あの頃は「萌え」ではなく「燃え」だったかも知れんけど。で、20世紀と共に日本のTRPG市場は一旦収束したわけだが、歴史は繰り返すのか?


ワイルドライフ』は、まずガンドッグ以外の職種の追加。これは「クラス」ではなく、社会的評価の意味での職種。なのでシステム上はガンドッグとほぼ変わらないが、ガンドッグの“特権”*3を得られない代わり、彼らより“縛られない”立場で動けるモノのよう。
続いて、メキシコにあるという架空都市の紹介、主要施設のゲーム用マップ付き。この都市に暮らすNPCが数名『Role〜』で紹介されてる。
そしてキャラ作成に関する追加。新職種と新要素『コネクション』のため、キャラ作成時にコネの取得が追加、新職種でのアイテム購入の制限。さらに追加クラス&コモンアーツ。追加されたクラスが格闘特化の『グラップラー』なのは、やはりこの手のキャラは人気が高いと言うことか。
あとは追加要素に関するものを中心にルールが幾つか、各種追加アイテム、シナリオ。それと、それぞれ見開き2ページで、ギッシリ詰まったチャートとキャラクタシート。これらはカバー裏と裏表紙にもあり。個人的には、このチャートが一番役に立つんじゃないかと思うので、誤植が無ければ良いなぁ。


ガンドッグ』と言えば、その昔書いたレビューが消されてさ。ホリエモンの会社に吸収された所に置いてあったんだけど、また消されたら癪なのでここに置いてやることにした。
以下、長いので興味ある方だけどうぞ。


新紀元社から刊行されている『ガンドッグ』のレビュー。


■概略
 ジャンルは「ガンアクションTRPG」、タイトルに明記されてます。プレイヤーは「ガンドッグ」と呼ばれる特殊部隊員(のようなもの。フリーランス)となり、現実とほぼ変わらない世界を舞台に、人質救出や依頼人護衛、企業機密奪取や暗殺などといった様々な任務を遂行していきます。もちろん、主に銃の力で。


■『ガンドッグ』の基礎知識
ガンドッグ
 PC達の通称。ワイズマンなどと契約を結んだ、荒事専門のプロフェッショナルのこと。
コーディネーター
 ガンドッグとワイズマンとの仲介役。他のゲームで言うフィクサー、あるいは冒険者の店の主人。
ナイトメア・ストーム(吹き荒れた悪夢)
 2003年の異常気象に始まる、7年に渡った動乱期のこと。その余波は今(2016年)も続いている。
ワイズ(W.I.S.E.)
 世界保健安全企業(World Insurance Security Enterprise)。世界情勢の悪化による巨額の保険金支払いの頻発に困った再保険会社たちが寄り集まって作った組織。PCにとっては依頼人の元締め。
ワイズマン
 ワイズに認められた金持ちで、高額な契約料と引替えにハイリスクな再保険契約を受ける。PCの主な依頼人


■特徴
●メルヘンの無い舞台世界
 『ガンドッグ』の舞台となるのは、今よりほんの少しだけ未来(2016年)の世界です。 2003年(のイラク戦争以降)に発生した地球規模の異常気象によって、食料生産が壊滅的な被害を受け、その結果起こった飢餓、そしてモラルの崩壊。各地で強盗や暴動、クーデターが頻発し、治安は悪化の一途をたどりました。 こうした一連の情勢不安は2010年頃には一応の収束を見せますが、2016年の現在においても、テロや営利誘拐が頻発するなど、世界情勢は不安定な状態が続いています。


●オヤジ満載のNPC
 そんな殺伐とした世界での活躍を描く『ガンドッグ』。NPCも殺伐としていて、顔付きで紹介されている31人は、ワイズマンとコーディネーターの他、世界各地の政治家に企業家、軍人、テロリストといった面々。その内、実に野郎が24人、四十歳以上が14人、二十歳未満に至ってはわずかに1人(中東の小国の外相の娘)という華の無さ。ありがたいことに、それに合わせて絵も落ち着いた調子になってます。


●少ない特殊能力
 結構重要な点です、良い意味で。システムによって特殊能力の数は大きく異なりますが、下手すると十数のクラスがそれぞれに数十の専用スキルを持つとか、特殊能力だけで千に届く様なモノまであります。 それだけあれば、個々の効果まで覚えることなど不可能。「<クイックドロウ>+<バッシュ>で攻撃。<ブレッシング>の効果があるし<ブレットレイブ>も……」とか言われても、使った本人以外には(下手するとGMにすら)意味不明でしょうが、『ガンドッグ』では8種のクラスに各6種のクラスアーツがあるのみ(初期で5個取得、各1シナリオ1回使用可)で、その効果も「成功率の上昇」や「達成値にボーナス」など分かりやすいものが多くなってます。


●豊富なデータ
 アイテム類は色々そろってます。当然武器関連を中心に、銃器だけで60を超える種類が簡単な解説と絵(解像度の低い写真)付きで掲載、その他補器類も各種。「クラスによる装備制限」などは存在しないので、能力と金と趣味が許す限りに好きな物をチョイスしましょう。


■クラス紹介
 クラスは全部で8種類。銃撃戦バンザイの「アサルト」、狙撃は任せろの「スナイパー」、潜入工作肉体派の「スカウト」、爆弾重火器パワーファイターの「デモリッション」、指揮交渉の「コマンダー」、乗り物万能の「パイロット」、情報通信の「オペレーター」、止血から蘇生まで究極癒し系の「メディック」。
 PC作成では、この中からメインとサブの二種類を選択(重複可)、トリガーハッピーちっくな「アサルト・アサルト」とか、いつでもどこでも視界外っぽい「スナイパー・オペレーター」とか、目指せPC⑤枠な「メディック・パイロット」などといったキャラが作成できます。


■システム
●使用ダイス
 使用するダイスは6面体が幾つかと10面体を2個。この内、6面体は武器のダメージ算出に使用し、行為判定には10面体二つを用いた%ダイス(以下、D%)を使用する。10面体の使用はこの他に、達成値を算出したり各種専用表を使用する際の2D9(2個の10面体を振って0〜18の乱数を得ること。「0」の出目は「10」ではなく「0」として扱う)などがある。


●成功判定
 前述の通り、成功判定はD%を使用した下方ロール。つまりD%で目標値以下が出たら行為は成功する。ただし出目によっては、ファンブルやクリティカル、絶対成功が発生する。なお、実際の判定では主にデュアル・ロール・システム(後述)が使用される。


●達成値判定
 2D9+スキルレベルで算出する。高い方が良い。


●デュアル・ロール・システム(DR)
 『ガンドッグ』システムのキモの一つで、成功判定のD%と達成値判定の2D9を同時に行なうこと。つまり、成功判定でD%を振り、出た目をそのまま合計して達成値にするということ。D%が目標値を超えていた場合は行為は失敗となり、もし達成値が必要なら0として扱われる。


例:成功率55%、スキルレベル1の判定の場合。D%を振り、出た目が52なら行為は成功し、達成値は8(=5+2+1)となる。もしD%の出目が59なら行為は失敗し、達成値は0となる。


ファンブルと絶対成功とクリティカル
ファンブル
 成功判定のD%で、出目が00だった場合に発生する。たとえ成功率が120%の行為だろうと失敗し、必要に応じて何らかのペナルティが与えられることもある。


◆絶対成功
 成功判定のD%で、出目が01だった場合に発生する。たとえ成功率がマイナスの行為だろうと成功するが、DRの場合だと達成値は1(+スキルレベル)である。


◆クリティカル
 成功判定のD%で、出目が目標値以下で一の位が0の場合に発生する。DRでクリティカルした場合、達成値は一律に20(+スキルレベル)となる。


例:成功率55%の成功判定の場合、10、20、30、40、50がクリティカル、60や70などは失敗となる。


●重量管理
 ちょいとユニークなシステムで、PCの持つアイテムをα×βのマス目で管理するというもの。マス目の広さはPCの能力によって変化し、【筋力】や【体格】が高いほど拡がります。勿論各アイテムもα×βの形式で表現され、これによって「ライフルはかさばるから無理だけど、ハンドガンと弾倉と手榴弾なら持って行ける」といった状況も。その分、多少煩雑になってますが、面倒な人向けに簡易ルールも用意されてます。


●ターゲット・レンジ・システム(TRS)
 こちらも『ガンドッグ』のキモ。狙撃や爆弾解除、カーチェイスや交渉など、重要なシーンで展開される「段階を経て推移する一連の行為」を、スマートかつスリリングに解決するシステム。修正値や進捗状況など、必要な情報が一目で分かるスグレモノで、イメージ的には「双六」のような感じ? 多分、これを使ってダイス振ってるだけで盛り上がることでしょう。


■その他
●先手必殺(?)
 当然のことながら戦闘となったら銃撃戦がメインなこのゲーム、これもある意味当然とは言え、一旦撃たれてしまえば「回避判定」等の防御手段はありません。傷付きたくなければ、遮蔽を取るとか、全力疾走して相手に狙いを絞らせないようにするくらいです。また万が一当たった場合、各種防弾アーマーが最後の砦となりますが、これも弾の衝撃を和らげる(可能性がある)だけで、後は自分の耐久力次第。勿論「ヒーリング魔法」や「HP回復ポーション」なんぞはありません(但しメディックなら戦場でも治療行為が可能。止血とか延命とか)。
 なので逝く時はあっさりと。殺るならば先手必勝・一撃必殺、短くも激しい戦いが繰り広げられることでしょう。


■まとめ
 現代(2016年ですが)を舞台に、ほぼ現代と同様な常識や技術レベルでプレイできるというのは、非常に貴重な点でしょう。銃器や軍事関連の知識があればより楽しめるでしょうが、特に詳しくなくとも、銃撃戦やカーアクションなどは映画を始めとする多くのメディアで頻繁に目にしていますから、ある程度のイメージを参加者全員が簡単に共有できると思います。
 システム面では、シンプルにまとめられながらも選択肢は豊富に準備されており、ドラマティックにもシステマティックにも行けそうです。何よりサイコロ振ってるだけでも楽しめそうというのが、最近のTRPGでは珍しい部類でしょう。
 ルールブックは他作品の構成を踏襲し、サンプルキャラにチュートリアル・シナリオ、 柱の注釈や巻末に集約されたデータ・チャート類と、扱いやすく作られています。 ただ、ルール中の文章がまるまる一文抜けている箇所が幾つもあったりするので、エラッタの適用は必須です。他、TRPG専門誌「Role&Roll」での企画モノという側面から、継続的なサポートが期待できるというのもポイント。
 お値段は税込み3,000円と文庫モノに比べればお高くなってますが、銃撃戦希望な方やファンタジックな要素に飽きた方などに、目先を変える一冊として試す価値は十分にあると思います。


2004/11/20 記(ファイル最終更新日)

*1:ドラマガ』に掲載されたものらしい

*2:漫画が面白かったんで。原作も読みたいが、結構数出てるのよね。

*3:コーディネーターとのコネ、物資調達での有利など。